朗読会に「公認朗読者」を招く価値

 ここ数年、親による虐待死で殺された子どもの事件が、ようやく盛んに報じられるようになりました。
 そのたびに、亡くなった子どもが受けた虐待のひどさを思い、胸を痛める方は少なからずいると思います。

 しかし、事件の報道がなくなれば、子ども虐待への関心も薄まり、忘れたころにまた同じような事件が起きて、また胸を痛めるだけ。
 そんなくり返しでは、親に虐待される子どもを減らすことなど永遠にできません。

 有権者である大人が「なぜ虐待は減らないのだろう?」と関心を持ち、テレビや新聞の報道を鵜呑みにせず、少しでも虐待について学べるチャンスを作らない限り、民意を反映する政治家も有効な虐待防止策を作ろうとはしないのです。

 これまでの虐待防止策は、児童福祉の専門家が提言する形で作られてきました。
 その結果が、下の統計です。


 調査初年の1990年には年間で約1000件程度しかなかった虐待相談は、28年間ずっと増え続け、約130倍に増えてしまいました。

 相談窓口としての児相や職員を増えせば、虐待相談もさらに増えていきます。

 これまで、自治体・企業・学校・マスコミ各社が企画する「児童虐待防止」に関する講演会では、主に児童相談所の職員や児童福祉を専門分野にする大学教授、臨床心理士などが招かれてきました。

 でも、上記の統計を見れば、彼らの説く虐待防止策が機能していないことは明らか。
 児童福祉の専門家は一度も虐待相談を減らせず、防止策に失敗し続けてきたのです。

 では、誰が子どもを救える防止策を作れるのでしょうか?
 それは、実際に親から虐待された当事者(=虐待サバイバー)です。

 彼らは、虐待された時に「何をしてほしかったのか」、親に「何をしてほしくなかったのか」を具体的に知っています。 
 子ども虐待をなくしたいなら、虐待サバイバーの声に耳をすませる必要があったのです。

 その虐待サバイバー自身が、自分の受けた虐待について書いたオリジナルの「親への手紙」を朗読する。
 それが、「親への手紙★公認朗読者」プロジェクトです。